
メーカー提供オフィシャル・イメージ (初期型)
もう30年来、クラブDJ御用達のスタンダード・ターンテーブルとして、現在もなお受け継がれるSL-1200シリーズの元祖となる初代モデルが、良好なコンディションで入荷しました。
経年劣化止むを得ない金属部の腐蝕も見られず、湿度が低く保管・保存環境に最適な北海道の風土でこそ保たれた麗しき一台です。特にメッキ仕上げのターンテーブルのストロボ・マークは錆なく、くすみなく新品のようにキラキラと輝いています。


1972年に新発売されたダイレクトドライブ方式ターンテーブル SL-1200。勿論、2代目以降のモデル末尾に刻印される“MK(マーク)何々”という数字もなく、一部好事家から“MK1”と名付けられるのはあくまで便宜上の呼称です。1979年にフル・モデルチェンジの後継機MK2が出るまで、オーディオ好きからは単に「せんにひゃく」と呼ばれていました。
このモデルは、1/2回転で完全に立ち上がる素早いキューイングを実現したダイレクトドライブや、回転ムラも少なく大型で重量感のあるターンテーブル、アルミダイキャスト製の堅牢なキャビネットを施された高性能でコンパクトな筐体が特徴でした。
ですが、あくまでDJユースに目を向ければ、そもそもこの初号機にはそのコンセプトはなく、国内ディスコのDJブースでも同社SP-10MK2や、DENONの機材がメインに使われていましたが、第一次ディスコ・ブーム真っ只中にあった遥か北米のディスコ/クラブ・カルチャーでDJ達に見出され、重用されるようになりました。トルクの強さや回転ムラの少なさは、早い音の立ち上がりやキューイングを容易にし、振動に強いキャビネットは、ディスコのような大音量で振動の多いタフな環境でのプレイで発生するハウリングから解放。また、本来はモーターの回転数の誤差を調整するために使われていたピッチ・コントロール用のつまみを、DJ達はレコードのビート~BPM (Beats Per Minute)を合わせるために利用するという、まったく新しい使用法を編み出しました。その結果、SL-1200はディスコ/クラブ・シーンにおけるスタンダード機器となり、後のSL-1200MK2開発のきっかけとなります。

ちなみに前述のとおり、本機はあくまで家庭用の鑑賞機材で、大音量のスピーカーを前に使用することなど想定外だったため、北米のクラブでは振動による針飛び対策でDJブースごと天井からワイヤーで吊ったりターンテーブルだけゴムバンドで吊って浮遊させた状態でセッティングされるのがデフォルトだったようです。
おそらくは1970年代当時のNYCディスコ・シーンで、カスタム・サウンドシステム専門の設計・設定会社として多くのクラブのDJブースに高品質なサウンドシステムを提供した『GRAEBAR SOUND』のアイデアだったのでしょう。

本機は生産されていた7年の間に、基盤本体、ネジを含む各部品の形状等々、都度細かな変更や改良が行われ、オーディオ好きの間では前期モデル・後期モデルに大別されるようですが、今回入荷の一台は、より耐久性・信頼性も増して見栄えよく改良されて使いやすくなった後期型です。
当時の売れっ子モデルで、頑丈にして故障知らずの堅牢この上ない国産銘機ですので、今も中古市場での流通量は多く、決して入手の難しい一台ではありません。ですが、ここまで良好なコンディションのものはそう易々とは見つからないでしょう。特に一般のオーディオ・マニアの方にお勧めしたい感動の一台です。
オリジナル・ダストカバー、オリジナル・ヘッドシェル(バリカン)&カートリッジ付き。開封後、アンプに繋ぐだけですぐにお気に入りのレコードを楽しめます。
中古初号機を愛する国内の第一人者として尊敬するsuomiさんにも胸を張って威張れる一台だと自負しています。

最後に・・・ 1979年のフル・モデルチェンジで、シンプルにしてスタイリッシュの極みを実現したMK2~3世代の筆者は、正直言ってこのモデルには未だ魅力を感じません。後継機にそのまま引き継がれたストロボ・マーク付きターンテーブルのデザインは別として、キャビネット上のチープなツマミ類もトーンアーム・ベースの形状も古臭せーなぁ、というのが本音で全然魅かれません。ただ、その高い完成度と、今も続くSL-1200シリーズの記念すべき元祖モデルという歴史的価値には、只々頭を垂れる他ありません。

サンフランシスコのゲイ・ディスコ『Trocadero Transfer』のDJブース (1977年頃)



















『SL-1200G』







